
小さく使って、大きく効く。AIで“最小差分×即検証”を実現したエンジニアリングの話
作成日:2025/10/6 05:46 更新日:2025/10/6 05:45

アクアビットスパイラルズでは、AI活用による業務効率化と新しい働き方への挑戦を進めています。
今回は私、システム開発部の岸が実践したAIの社内活用事例をご紹介します。
私たちのチームは、決済と認証というクリティカルな領域を、フロントとバックを横断して磨き続けてきました。
そこで生成AIを“広く”ではなく“狭く・具体的に”差し込むことで、仕様の一貫性を取り戻し、巻き戻し運用のリスクを抑え、ビルド復旧の初動を短縮する。
地味ですが効く改善を積み重ねています。
本稿では、その背景、具体的な取り組み、得られた成果、そして次の挑戦についてお伝えします。
最初に向き合ったのは、画面表示仕様の分散でした。
文言や並び順、ルール定義が各所に点在し、気づかぬうちに微妙な不一致が積み上がっていたのです。
同時に、ロールバック手順には「丸ごと戻す」運用が紛れ込み、後続の変更まで巻き戻してしまう潜在リスクが残っていました。
さらに、ビルド時のエラーは原因特定に時間を要し、開発が断続的に停止するストレスを生んでいました。
私たちはAIを“加速装置”として位置づけ、事実確認 → 最小変更 → 即検証の循環を高速化しました。
仕様の所在を棚卸しして重複や矛盾をあぶり出し、差し戻し前にはドライランで競合ファイル群を可視化。
エラー対応では原因を機械的に切り分け、“欠けている定義”を洗い出したうえで、恒久策の提示までをひとつの流れに組み込みました。
文言や並び順、ルール定義が散在していたため、まずAIに事実確認を徹底させ、仕様の所在を一気に棚卸ししました。
重複と矛盾を洗い出したうえで、並び順は「ブランド → 登録順」に一本化。
仕様は一箇所で定義し、各画面はそれを参照する構成へ置き直しました。
整えたルールが再び崩れる“再崩壊”を抑え、UXの迷いも減らすことができています。
過去には「丸ごと戻す」手順が紛れ込み、後続の変更まで巻き戻してしまう場面がありました。
そこで差し戻しの前にAIでドライランを行い、競合し得るファイル群を可視化。危うい“再リバート”を踏む前に察知し、必要なロジックと検証ページだけをピンポイントで復元する運用へ切り替えました。
狙った範囲だけを正確に戻しつつ、後続の成果は傷つけない。
ロールバックが本来の“安全弁”として機能する状態へ戻せています。
ビルド時のエラー対応では、ChatGPTを使って原因を切り分けながら、欠落していた状態定義や永続化の不足といった“前提の穴”を特定しました。
さらに、その場しのぎに終わらず恒久的な解決策までセットで提案させることを徹底。
似た系統のエラー再発を抑え、初動は短く、復旧は安定しました。
開発が断続的に止まるストレスも目に見えて減っています。
AIを前提に、運用の“約束事”も整えました。
変更は小さく、いつでも戻せる単位で行う。生成物を丸ごと巻き戻さず、必要部位の“部分復元”を優先する。
着手前に成功条件と検証観点を明確にする。
これらをテンプレート化し、「目的・成功条件・制約・検証観点・最小差分」を短いノートにまとめて共有しています。
変更前後の見える化が進むにつれ、議論は自然と“どこを一番小さく直すか”に収れんしていきます。
取り組みの結果、決済画面の表示仕様は安全に統一され、ユーザーの迷いが減りました。
危険な巻き戻しは未然に検知できるようになり、リスクの高い手順をそもそも選ばない運用へ移行。
状態管理の前提不足を補ったことでフロントの変更耐性は上がり、検証サイクルは一段と速く回るようになりました。
私たちが欲しかった「安全性・一貫性・速度」の同時達成に、現場の実感として手が届いています。
次の焦点は自動化です。
差分テストの自動生成で回帰検出を強化し、変更規約に沿った自動コードモッドを安全に回す。
さらに、仕様変更時の影響(文言・並び順・設定)を自動レポート化する。
いずれも「最小差分 × 即検証」をもう一段推し進めるためのピースとして取り組んでいきます。
結局のところ、AIは“全部を任せる”よりも、“狭く・具体的に任せる”ほど価値を最大化します。
事実確認、影響の可視化、最小差分の設計。
AIが得意な領域を確実に押し込み、私たちは小さく試して、すぐ確かめる文化を守る。
プロダクトの安全性を高めながらスピードも落とさないようなAIとの共存を目指していきたいと思います。
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