arrow_back

記事一覧へ

NFCは離脱の原因? NFCとQRを併記した利用データが示す答え

      作成日:2026/7/21 05:37 更新日:2026/7/22 01:51

      NFCは離脱の原因? NFCとQRを併記した利用データが示す答え

      NFCの活用を検討する際に、よくこう聞かれます。

      • NFC非対応端末が多くて、使えないユーザーがいるのでは?

      • NFCとQRを並べても、結局QRが使われるのでは?

      • NFC比率が低い=失敗・大量離脱では?

      • NFCのみ(QRなし)だと成り立たないのでは?

      根拠のないまま広がると、併記という安全な設計まで避けてしまうことがあります。

      ここでは、NFCとQRを両方並べたときの利用の実態を、関東都市圏を中心とした複数施設で2024年1月〜2026年7月に運用したNFCとQRを併記した案内の利用データ(約7.4万回)から整理します。対象は主に商業施設・複合施設での特典・クーポン利用シーンであり、全国の小売単店や業種すべてを代表するものではありません。

      結論: NFCだから使われないわけでも、NFCだから自動的に使われるわけでもありません。併記の現場では、過半数が「かざす」を選ぶケースもあれば、QRが主導線になるケースもあります。NFC比率は設置・来訪者・利用回数などの結果です。

      NFCとQRの方式比較は「スタンプカードを電子化する方法」「NFCタッチとQRコードの比較|店舗販促での使い分け」もあわせてご覧ください。


      この記事で扱う4つの問い

      #

      問い

      データが示す答え

      1

      NFC非対応端末が多くて、使えないユーザーがいる?

      非対応は少数派(おおむね1割強)。併記ならQRが受け皿になる

      2

      NFCとQRを並べても、結局QRが使われる?

      QR一択ではない。全体56%超が「かざす」。施設・用途で22%〜71%と幅がある

      3

      NFC比率が低い=失敗・大量離脱?

      失敗ではない。QRで目的達成+初回はQR寄りが正常。低比率施設でも利用は継続

      4

      NFCのみ(QRなし)だと成り立たない?

      一定規模の利用は継続(約25万回の参考データ)。段階・目的で使い分けが現実的

      以下、データの前提を示したうえで、問いごとに詳しく説明します。


      そもそもNFC・QR併記とは

      併記とは、同じ案内板やスタンド(カウンター横の卓上案内など)に、NFCタグとQRコードの両方を載せている状態を指します。利用者はどちらか一方で目的のページにたどり着けます。

      併記の概念図。同じ案内板にNFC(かざす)とQR(読み取る)を並べ、どちらも同じ目的ページにつながる

      用語

      意味

      NFC比率

      かざした回数 ÷(かざした回数 + QRを読み取った回数)× 100(%)

      併記運用

      NFCとQRを同じ案内に並べること

      NFC比率は「参加率」や「満足度」ではありません。両方選べる状態で、どちらの入口が選ばれたかを示す指標です。

      利用データは、NFCとQRを併記した案内のログ(約7.4万回・2024年1月〜2026年7月)に基づきます。運用の中心は特典・クーポンの取得・利用で、施設は関東都市圏の商業・複合施設が中心です。


      問い1:NFC非対応端末が多くて、使えないユーザーがいる?

      よくある想像

      「スマホによってはNFCが使えない。だからNFCを載せると、参加者が脱落するのでは?」

      端末の実態

      FeliCa Networksの調査(2025年8月・関東・n=5,000)では、スマートフォン所有者の84.7%がFeliCa対応機種を所有しています。非対応は15.3%出典: FeliCa Networks ユーザ調査

      観点

      ポイント

      端末

      非対応は少数派(おおむね1割強)だがゼロではない

      併記

      QRでもう一方の入口を確保できる

      併記データが示すこと

      併記した案内全体のNFC比率は56.4%。残り約4割はQR経由です。非対応や不慣れな方は、QRが受け皿になっています。これは「離脱」ではなく経路の分担です。

      端末別の傾向も参考になります。iPhoneユーザーのNFC比率は61.7%、Androidは44.6%(約17ポイント差)。AndroidはQR習慣等の要因でQR寄りになりやすいですが、NFC経路はゼロではありません

      答え

      非対応端末は存在します。ただし併記が前提なら、非対応層はQRで受け皿になり、「大多数がNFC不可のせいで回らない」という極端なシナリオは当てはまりにくいです。


      問い2:NFCとQRを並べても、結局QRが使われる?

      よくある想像

      「併記しても、結局みんなQRを使うのでは?」「NFCタグを付ければ、ユーザーは自然とかざしてくれる」

      併記した案内全体の傾向(2024年1月〜2026年7月)

      区分

      NFC比率

      読み方

      併記した案内全体

      56.4%

      かざす操作がやや多い

      特典・ギフト系

      58.1%

      NFCがやや多い

      クーポン系

      44.8%

      QRがやや多い

      併記案内全体の傾向。全体56.4%、特典58.1%、クーポン44.8%。四半期推移 2024 Q2 47.0%→2026 Q2 61.9%

      併記しているにもかかわらず、全体では過半数が「かざす」を選んでいる——「併記=QR一択」という図式は、まず成り立ちにくいことがわかります。内訳によってはQR寄りのグループもありますが、いずれもNFC経路はゼロではありません(クーポン系でも約45%)。四半期推移でも上昇傾向が見られます(2024年Q2 47.0% → 2026年Q2 61.9%)。

      施設・用途によって大きく変わる

      同じ併記の仕組みでも、施設ごとにNFC比率は22%台〜71%台と大きく異なります。対象はいずれも関東都市圏の商業・複合施設で、業態上の大きな違いは限定的です。差が出ているのは施設の「種類」より、入口の設計・来訪者の定着・案内の置き方など運用側の要因と読むのが自然です。

      商業施設

      NFC比率

      商業施設A

      71.2%

      商業施設B

      65.9%

      商業施設C

      41.0%

      商業施設D

      30.3%

      商業施設E

      22.5%

      施設別NFC比率。71.2%から22.5%まで幅がある

      入口の目的でも選ばれ方は変わります。特典・ギフト(58.1%)は「その場でかざす」動線と相性がよく、クーポン(44.8%)は一覧表示・画面遷移など操作が中心の場面でQRが選ばれやすい——同じ併記でも約14ポイントの差が出ます。

      答え

      併記=QR一択、ではありません。全体では過半数がNFCです。ただしNFCタグを載せただけでは高くならず、導線・来訪者・設置・入口の目的で22%〜71%と幅が出ます。


      問い3:NFC比率が低い=失敗・大量離脱?

      よくある想像

      「NFC比率が2割台なら、ユーザーが諦めている証拠では?」

      低NFC比率の施設でも、利用は継続している

      商業施設E(NFC比率22.5%)では、QR経由が約8割を占めます。併記があるため、QRで目的は達成できています。NFC比率が最も低い施設でも、利用は継続して記録されています。

      低比率は「初回利用者が多い」「QRが主導線」——離脱ではない

      初めて利用する方のNFC比率は33.9%——初回はQRが選ばれやすいのは正常です。2回目以降は51.5%、6回以上の利用者では67.3%とNFCが増えます。

      利用回数とNFC比率。初回33.9%から6回以上で67.3%へ上昇

      回数とともにNFC比率が上がる傾向は、離脱ではなく定着と読めます。慣れてくると、かざすだけでたどり着ける手軽さがQR(カメラ起動→読み取り)より効き、NFCを選びやすくなる場合もあります。

      商業施設Eのように最初の参加入口をQRにしている場合、併記部分のNFC比率が低く見えるのも自然です。

      失敗したと感じるのは、担当者の「NFCを利用してほしい」という想いに反して、NFCが使われていないために陥る錯覚です。あくまでNFCを選ぶか、QRを選ぶかはユーザーです。大事なのはユーザーの利便性に向き合い、改善していくことです。

      答え

      低NFC比率は「失敗」ではなく、QRが主導線として機能している状態か、初回利用者が多い状態のサインです。併記の目的は「どちらか一方でたどり着けること」であり、NFC比率100%が正解ではありません。


      問い4:NFCのみ(QRなし)だと成り立たない?

      よくある想像

      「QRがないと非対応者が全員脱落する」「NFC入口=即離脱」

      NFCのみ案内でも、一定規模の利用が継続

      QRを載せないNFCのみの案内(約25万回)でも一定規模の利用が継続しており、「NFC入口=即離脱」とは言えません。

      段階設計——NFCのみと併記を使い分ける

      現場では、参加の入口利用の入口を分けるパターンがあります。不正防止の背景は「QRコードスタンプの不正対策」も参照してください。

      段階

      商業施設B(高NFC比率の例)

      商業施設E(低NFC比率の例)

      参加・取得(最初の入口)

      NFCのみ(その場にいることの確認が必要)

      QR(参加のハードルを下げる)

      利用・消化(NFCとQR併記)

      NFC / QR 併記

      NFC / QR 併記

      段階設計の例。商業施設Bは参加NFCのみ→利用併記(65.9%)、商業施設Eは参加QR→利用併記(22.5%)

      商業施設Bでは併記部分のNFC比率65.9%。商業施設Eは22.5%ですが、利用の段階でQRを確保することで、最初の入口設計と切り離して参加経路を維持しています。

      答え

      NFCのみでも一定規模の利用は成り立つ参考データがあります。ただし参加率を最優先する段階では、NFC非対応者が最初のNFC入口で脱落する可能性が残るため、QR併記や最初からQRの設計も検討してください。「その場の確認が必要なところはNFCのみ」「幅広い参加は併記」という段階設計が、データと現場の両方に沿います。


      NFC比率が変わる条件——4つの問いを深掘りする

      同じ併記でも、NFC比率は設置・来訪者・利用回数・端末などによって上下します。上記4問の背景として、利用データから読み取れる主な要因を整理します。

      施策の性質——「何のための入口か」で選ばれ方が変わる

      目的のタイプ

      NFC比率

      ポイント

      特典・ギフトの取得・利用

      58.1%

      その場で「かざす」動線と相性がよい

      クーポンの取得・利用

      44.8%

      一覧表示・画面遷移など、操作が中心の場面ではQRが選ばれやすい

      設置・導線——「かざす」が自然な場所か

      NFC比率が高い施設(商業施設A・Bなど、65〜71%)に共通しやすい要素として、次が挙げられます。

      • 案内が手の届く距離にあり、かざす動作がその場で完結する

      • 案内でタップ操作が明示されている(ピクトグラム・スタッフの一声)

      • 繰り返し訪問しやすい来訪者が多い

      低い施設(商業施設D・Eなど、22〜30%)では、設置が遠い・初回来訪が多い・最初の入口がQR中心などが重なりやすいです。いずれも商業・複合施設の範囲内であり、施設タイプの差というより運用の差と見るのが妥当です。

      NFC比率を上げたい場合は、高比率の施設で効いている設置・案内のやり方を他の店舗・施設にも広げる(距離、視認性、操作の説明)のが有効です。立ち上げ直後はQR寄りでも、数四半期の運用でNFC比率は上がりうる——短期の数字だけで併記設計を否定しないでください。

      利用回数——繰り返すほどNFCが選ばれる

      利用者

      NFC比率

      初めての利用

      33.9%

      2〜5回利用

      51.5%

      6回以上

      67.3%

      初回はQRでも問題ありません。2回目以降は「次からはかざすだけ」と案内するとよいでしょう。NFC比率はリピーター層で見ると変化が読み取りやすくなります。

      端末——Androidユーザー向けにピクトを前面に

      端末

      NFC比率

      iPhone

      61.7%

      Android

      44.6%

      Android来訪者が多い場合は、「かざす」アイコン・矢印をQRと同列か前面に。外国語来訪者が多い場合も、テキストに依存しないピクトグラム誘導が有効です。併記をやめず、NFC側の見せ方を強化してください。


      併記設計のチェックリスト

      #

      チェック項目

      期待効果

      対応する問い

      1

      幅広い参加が必要な段階は NFC / QR 併記

      非対応・初回層にも入口を確保

      1, 4

      2

      その場の確認が必要な段階だけ NFCのみQR不正対策も参照)

      不正防止と参加障壁を分離

      4

      3

      案内を 手元でかざせる位置 に置く

      NFC比率の向上

      2

      4

      「かざす」ピクトグラム をQRと同列か前面に

      Android・外国語ユーザー向け

      1, 2

      自施設でNFCとQRを併記しているか、案内の置き場所を確認し、チェックリストのうち1項目だけ改善してからNFC比率の変化を見てください。NFC比率より目的達成を優先してください。


      よくある質問

      NFC非対応(使えない)端末は多い?離脱する?

      関東調査ではスマホ所有者の15.3%がFeliCa非対応機種です。併記なら、非対応層はQRで同じ目的にたどり着けます。

      併記すると結局QRばかり使われる?

      全体では56.4%がNFC経由です。施設・用途・利用回数によって22%〜71%と幅があります。QR一択ではありません。

      NFC比率が低いと失敗ですか?

      低比率はQRが主導線として機能している状態か、初回利用者が多いサインです。併記の目的は「どちらか一方でたどり着けること」です。

      NFCのみ(QRなし)でも成り立ちますか?

      NFCのみ案内でも約25万回の参考データで利用は継続しています。参加率を最優先する段階では、非対応層を考え併記やQR入口も検討してください。

      併記と、NFCだけ/QRだけ、どう使い分ける?

      幅広い参加が必要な場面は併記。その場にいることの確認が必要な場面はNFCのみ(QRコードスタンプの不正対策も参照)、既存のQR導線との統一が優先ならQR中心——段階で分けるのがデータと現場の両方に沿います。

      併記のNFC比率、どのくらいを目標にすればよいですか?

      設置場所によって22%〜71%と幅があります(いずれも類似した商業・複合施設群)。自施設のベースライン(リピーター層・利用が多い時間帯など)を取り、導線改善後の変化を見るのが現実的です。他施設の数字をそのまま目標にしないでください。

      データの出所は?

      2024年1月〜2026年7月のNFCとQR併記案内利用データ(約7.4万回)。期間・対象の詳細は「データの前提——併記とは」を参照してください。


      まとめ

      問い

      データが示す答え

      NFC非対応端末が多い?

      非対応は少数派(15.3%)。併記ならQRが受け皿

      併記でも結局QR?

      QR一択ではない。全体56%超が「かざす」。施設で22%〜71%

      低NFC比率=失敗・離脱?

      失敗ではないQRで目的達成+初回はQR寄りが正常

      NFCのみは成り立たない?

      一定規模の利用は継続。段階・目的でNFCのみ/併記を使い分け

      NFCとQRを両方並べたとき、ユーザーは状況に応じて使い分けています。NFCだから使われないわけでも、NFCだから自動的に使われるわけでもありません。併記は離脱を招く設計ではなく、入口を二つ用意する設計——設置・来訪者・利用回数・端末の条件を踏まえ、現場に合わせて整えてください。

      NFCの基礎は「NFCタグとは?」、来店証明は「NFC来店証明とは?」を参照してください。


      お問い合わせ・資料ダウンロード

      掲載データは、NFCタグを用いた案内の併記運用に基づきます。株式会社アクアビットスパイラルズでは、NFCとQRの併記設計、来店証明、不正防止など、導入要件の整理からご相談いただけます。

      その他の事例もみる

      弊社にはNFCを活用したあらゆる領域の知見と実績がございます。
      担当がお客様のパートナーとして、1社1社の課題をしっかりとヒアリングし、最適なソリューションをご提案をさせていただきます。
      導入後も、お客様の課題解決に伴走し、継続的にサポートいたしますので、安心してお任せください。

      まずはお気軽にお問い合わせください。
      資料請求のみも可能です。

      株式会社アクアビットスパイラルズ Aquabit Spirals Inc.
      〒108-0074 東京都港区高輪2-16-5 東武高輪第2ビル2階

      Copyright © Aquabit Spirals Inc. All Rights Reserved.

      keyboard_arrow_up

      まずは

      資料請求!